熟練こと、西野です。

入社して早々熟練と命名されるとは・・・

恐縮でございます。

そんな私のこと、みなさんもっと知りたいですよね？

熟練なんて呼ばれる私のこと、

気になってしょうがないでしょ？

西野美月はウインクが得意で常にウインクしかしていない

ということくらいしか私のこと知らないでしょ？

別にお前のことなんて知りたかねーよ！

知ったこっちゃねーよ！

なーんて言わずにちょっとだけ私に自己紹介させてちょうだいな♡

とは言ったものの、自己紹介とは一体何を言ったらいいのかしら。

みんなー、何が知りたいー？

血液型とか？好きな食べ物とか？西野の出生秘話とか？

でも、血液型とか好きな食べ物の話じゃありきたりなので

西野の出生についてお話ししましょうかね。

私出身が青森なんです。

アキレス腱を切った父が母の勤める病院に入院したことがきっかけで

付き合うことになった2人の間に生まれた私。

青森県は八戸市で産声を上げました。

八戸市は漁業が盛んな海のまち。

サバ、イカ、イワシ、タラ、なんでも獲れる。

街ゆく男はだいたい漁師で、みんな頭にねじり鉢巻きをしている。

言わずもがな、私の父も漁師だ。

私が小さい頃、父はイカ釣り漁船にのっていて

毎日食卓にはイカが並んだものです。

日が暮れるまで海で遊び、

漁火を見ながら家へ帰る。

それが私の生活スタイルで、きっと、一生当たり前に続いていくことなのだと

幼いながらもずっとそう思っていました。

しかし、そんな日々もある日突然終わりを迎えることに。

長きにわたりイカを釣ってきた父が突然こう言ったのです。

「大間のマグロ、釣ってくるはんで！」

イカ釣りはやめて、マグロの一本釣りをすると言い出す父。

一家の大黒柱である父がそう言うのであれば

家族全員、父についていかねばなりません。

一家揃って大間町へ引っ越しました。

私が7歳のときでした。

本州最北端の地、大間

常に波の荒い津軽海峡が目の前に広がる。

その先にはいつも北海道が見えました。

この津軽海峡で獲れるクロマグロは

築地で高値で取り引きされる高級マグロ。

大間はこのマグロで有名な町なのだ。

男は黙って一本釣り

と言わんばかりに、

毎日毎日津軽海峡の荒波に揉まれながら

父はストイックにマグロと向き合っていました。

しかし、そう簡単にマグロは釣られてはくれませんでした。

酷いときは1年以上マグロが釣れず、

イカや他の魚を獲ったり、

私も獲った昆布を干す手伝いなどして

暫くはひもじい生活を強いられてきました。

お米も高くて買えませんでした。

その日釣れた魚、岩場で獲ってきた小さいカニの素揚げ、

私が毎日食べていたものです。

肉の味は知りませんでした。

小学校には毎日、母が作ってくれたお弁当を持って通っていたのですが、

クラスメイトのお弁当にはから揚げやたまご焼きが入っているのに、

（アワビのバター焼きが弁当に入ってるヤツもいた。信じられます？）

私のお弁当には小さいカニの素揚げしか入っていない。

みんなの前でお弁当を広げるのがとても恥ずかしく、

なんで魚と小さいカニしか食べられないんだよー！肉食わせろー！米食わせろー！

と、父や母を恨みました。

そんなある日、算数の授業を受けていたときでした。

「10年に一度のデカいヤツが上がったぞー！！」

教頭先生が職員室から走ってきて、勢いよく教室の扉を開け叫びました。

10年に一度のデカいヤツ・・・まさか・・・500㎏級のあいつが・・・！？

学校が終わり、急いで漁港に向かいました。

一体誰が釣り上げたのか、父なのだろうか、父であってほしい、父であってくれ・・・

父の姿を探す、こんなに胸がバクバクと波打ったことはない。

向こうの人だかりに父の大きな背中が見えた。

「お父さん！！！！！」

父の背中に飛びつく私。

「ねぇ、マグロ！マグロ釣ったの、お父さんなの！？」

あれ以来、私のお弁当に小さいカニの素揚げは入らなくなりました。

久しく口にしていなかった肉を食べた時には感涙しました。

あの日食べた肉の味、いまだに忘れられないよお父さん。

今こうして生活できているのも、お父さんがあの日、超デカいマグロを釣ってくれたからだよ。

私は毎日元気だよ。天国から見てくれてるかな・・・

あ、お父さん生きてる。死んでない。

ついでに言うと私の父、漁師じゃない。

でも、うちの両親の馴れ初めと、

八戸で生まれたことと、

大間に住んでたことと、

クラスメイトの弁当にアワビが入っていたことは

本当のお話です。

途中、この作り話に飽きてしまったのと、収拾がつかなくなってしまったので、

勝手に父を死んだことにしてしまいました。

なんて娘だ。

お父さん、ごめんね・・・

こんな西野のことを、どうかみなさま温かい目で見守っていてくださるとうれしいです。

自己紹介じゃなくなってしまいましたが、

どうぞこれからもよろしくお願いします。

西野